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ジュエリーやパールをまとうのは自然なことだし、気分がいい


ファッションは自分のためのエンターテインメント

 その日、千葉雄大さんは撮影のテーマに合わせてサスクワァッチファブリックスの繊細な白のレースのシャツに、黒の革ジャンを着て現れた。サンローランのブーツ、耳には銀のピアスをつけ、まさにハードで甘い美しさ。それは言葉が喚起するイメージを、自分なりに形にする能力であるとも思った。
「このシャツ、今日初めて着たんですよ。でもそれだけだとあまりにも、と思って、レザーのジャケットを合わせました。デニムはアクネ ストゥディオズです。形がきれいですよね。ファッションが大好きなんです」
 おしゃれはエンターテインメント。そして彼にとってのエンターテインメントとは、人を楽しませること、そして自分も楽しむこと。この1年、家で過ごすことはそれほど苦にならなかったというが、ファッション好きなら誰でも感じるような欲求不満は、やはり少しあるようだ。
「オンラインでも、いろいろ楽しむ方法は見つけてるんですけどね。たとえば“オリエント”みたいなテーマやドレスコードを決めて、オンラインで友達と会ったりもしました。4分割画面で、それぞれがテーマに合わせた格好をして。でも服って、やっぱり……。先日、久しぶりに買い物に出かけて、『ああ、ほんとに楽しい』って思ったんです。着るものもこれまでは、仕事に行くときはそんなにこだわっていなかったんですけど、いまは毎回『今日は何着ていこう?』と考えるようになった。人の目に触れる楽しみ、じゃないですけど(笑)」
 彼の着こなしは、たとえばハリー・スタイルズやティモシー・シャラメ、Kポップのスターたちがメンズウェアの概念やステレオタイプを超えて、カラフルな色や柄、ジュエリーを身につけることとも共鳴している。それは新しい世代が従来の男性像を壊し、変えていく大きなきっかけになっているように思えるが、本人はそんなことは意識していないという。
「僕にはないですね、壊すとか、そういう気持ちは。好きなものを、好きなときに身につける感じ。あんまり“壊す”とか“改革”とか、そういうものには興味がない。ジュエリーやパールも普通に自分が身につけていて気分がいいとか、『今日はあそこに行くからつけていこう』とか。ほんと、エンターテインメントなんです」

パブリックイメージは必ずしも自分じゃない

 そう、若い世代がやっていることに意味を見つけようとしているのは、いつもむしろ周りの大人やメディアだ。ただ厄介なのは、本人にとっては自然なことでも、それによってパブリックイメージがつくられ、そこに押し込められてしまうこと。たとえば、ビリー・アイリッシュ。ダミアーニ 偽物その独特なスタイルと、鬱などパーソナルな体験を音楽にするせいで、彼女は「新世代の声」にされた。ドキュメンタリー『ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている』(’21)でも、そのことばかり質問する年上の男性ジャーナリストに囲まれて、彼女が頭を抱えているようなシーンがある。
「かったるいですよね(笑)。それでちょっと図に乗ったような感じに見えると、今度はきっと『天狗になってる』って言われるだろうし、八方塞がり。だから、もう何も言わないのがいちばん波風が立たないんでしょうけど……それもめちゃくちゃにフラストレーションがたまる。本当に、そういう面倒くさい考え方はなくなってほしいなと思います」
 千葉雄大さんの場合、パブリックイメージは「可愛い」。でももうそれをコントロールしたり、あえて裏切るような仕事を選んだりしようとは思わなくなったという。実際、ドラマ「いいね!光源氏くん」のように、そのパブリックイメージを拡大して、はんなりした魅力を放つ、他にはないような役も演じてきた。
「仕事はやるんです。そこでは(パブリックイメージに)迎合します。ただそうじゃないところで僕自身を求められたときには、関係がない。取材で『やっぱり寝る前はホットチョコレートとか、ミルク飲むんですか?』って聞かれたりするんですよ。そうすると『いや、ビールです』って(笑)。うん、表現する際には、パブリックイメージが必要になることもあるし……ただ、昔はその部分でいろいろ思っていたこともあるかもしれないけど、いまはないです。イメージを裏切る役も、頂いたらやりますけど、あえて探そうとは思わない。単に面白ければ、なんでもやる。ただそういうパブリックなものがプライベートにまで侵食してきたら、僕にはちょっと無理ですね」

ロマンティックが、世界を変える
 いまの世代が世界を変える、というとき、ぱっと頭に浮かぶのは人種差別や気候危機を訴えるプロテストなど、社会的な活動だ。でも、変化はもっと広いところで起きている。カルチャーやアートがどんどんそれを促しているし、新しい美意識が物事を動かしている。そう、たぶんどんな世代においても、きっかけとなるのはロマンティックな精神だ。
 千葉雄大さんが好きなデザイナーに挙げるドリス・ヴァン・ノッテンも、ロマンティックな作風で知られる。同時にその美意識を貫くためにさまざまなビジネス上の決断をし、ファッション業界では異色とされた。彼を追ったドキュメンタリー『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』(’17)では、その側面も描かれている。
「僕、もともと『このブランドのデザイナーが変わって』とか、そういう情報には興味がないんです。ものがよければなんでもいいし、ものは大事にする。まあ、自分に知識がなくて、ついていけないだけかもしれないけど。ただ、ドリス・ヴァン・ノッテンは好きなんですよね。今日も着て来たいドリスのジャケットがあって、迷ったんです。ニューヨークで買った、ベロアの青い生地に刺しゅうが施されてる服。サイズ52で大きすぎるのに、買わずにはいられなくて。あのドキュメンタリー映画ではコメントを依頼されて、その仕事がすごくうれしかった。あのカップルが素敵だし、二人が暮らす家や庭も素敵なんですよね。あんな家に住みたい。それはパブリックな俳優、千葉雄大としてではなく、僕本人が住みたいです(笑)」
 では、俳優として憧れる存在は?と聞くと、出てきたのはグザヴィエ・ドランの名前。10代の頃からひりひりした人間関係を撮り続けてきたケベック出身の監督だ。情熱的でロマンティックな映画を作り、演じる人でもある。ここでも美意識は一貫している。
「グザヴィエ・ドランは作品が好きだし、彼の映画に出られたらうれしいなあ、って思う。最近の『マティアス&マキシム』(’19)もよかったんですよね。メンズ ファインジュエリードランが『君の名前で僕を呼んで』(’17)を観て、すぐにあれを作ったっていうところも潔い。少しでも近づくために、フランス語を勉強しようと思ってるんです」
 好きなもの、美しいと思うものに突き進むその気持ちが千葉雄大さんをどこに連れていくのか、興味は尽きない。それはきっと、思ったより速いスピードで彼だけでなく、周りの環境を変えていく、そんな予感がする。「ロマンティックは止まらない」のだから。

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